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三ツ星シェフの手がけるユニークなバーガー店誕生
こんにちは。フランス班のオリビエです。
みなさんは、フランス料理と聞くと、きちんと正装して食べに行かなければならず、テーブルマナーもいろいろあって、なんだか堅苦しそう、、なんてイメージをお持ちではないでしょうか?
確かに、前菜からメイン、デザートにいたるフルコースを2~3時間かけて楽しむ「レストラン」では、テーブルに真白なテーブルクロスが敷かれ、形の違うグラスやカトラリーがいくつも並んでいて、それなりの作法が求められます。
一方、すっかり日本語にも定着した「ビストロ」は、カジュアルな装いで、ワインを片手に思い思いに料理をつまみながら、家族や友人とワイワイ楽しむ場所なので、ステレオタイプのフランス料理のイメージは必ずしも当てはまりません。
フランス料理界には数々の偉大なシェフがいますが、その中で帝王と呼ばれるのがアラン・デュカス。世界各国でミシュランの星付きレストランを何軒も経営しており、東京でも銀座ベージュや表参道ブノワなどで彼の料理を味わうことができます。
Photo : Fred Dufour
食大国フランスでは、近年、ヴィーガン料理を供するお店が少しずつ増えてきましたが、この流行を加速させそうな動きが、帝王デュカスが仕掛けたヴィーガンバーガー店 Burgal(ブルガル)です。昨年4月にパリのバスティーユ広場にオープンしたこのユニークなお店は、広場に面したわずか8平米のキオスクをバーガー店に改装したもの。そのスタンドで販売されるバーガーは、全てヴィーガン仕様となっていて、バンズには卵や乳製品を一切使わず、パティはニンジンや玉ねぎ、キヌアやレンズ豆、ズッキーニなどの素材を使ったガレット仕立て、そこにナスのピュレ、ピクルスがサンドされています。開店するや否やたちまち話題となり、行列の絶えない人気店となりました。
アラン・デュカスは、レストランの他に料理学校を経営するだけではなく、レストランでも格式高いミシュランの星付きから、野菜専門店、ビストロ、カフェ、その他店舗としてチョコレートやアイスクリームの専門店など、実に手広く展開をしています。
しかし、よく見ると、どのケースも他に先行するというよりは、ある現象が流行り出した直後に彼が取り上げるという傾向があります。それは、彼が人に遅れをとっているためではなく、彼ならではの組織力を生かし、これから話題になりそうなトピックや素材を逃さず、並行してプロジェクトを進め、ちょうど機運が高まったタイミングで事業をローンチさせる術やセンスに長けているからだと言えます。ある現象が食業界の狭い世界で留まるのか、より一般の現象として広まっていくのか、そのバロメーターとなる地点に彼がいるのです。デュカスの開店するお店はどれも成功しているように思われますが、それは、彼が先駆者であるよりは、ある現象にお墨付きをつける立ち位置にあるからであり、まさに彼のマーケティング戦略、ブランディング力のなせるゆえんと言えます。
みなさんも、ぜひ、パリにお出かけの際は、このヴィーガンバーガーを試してみてください。