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おしゃべりレジ登場
こんにちは。フランス班のオリビエです。
フランスのスーパーマーケットでは、2022年のはじめごろからBlabla caisse(ブラブラケス)=おしゃべりレジと呼ばれるレジがお目見えしました。
どんなレジかと言うと、その名のとおり、買い物に来た客はレジの店員と世間話を楽しむことができます。後ろに人が並んでいようがお構いなし。急いで支払いを済ませて、袋詰めする必要はありません。みな同じ目的で並んでいるので、ゆっくり好きなだけ時間をかけていいのです。
もちろん、すべてのレジが「おしゃべりレジ」なわけではなく、スーパーによって数列が特設されています。
この「おしゃべりレジ」。もともとは、コロナ禍で満足に外出ができず、人と会話をする機会が減ってしまった独り身の老人に、社会との接点を持たせることが狙いだったのですが、いざスタートすると、老若男女を問わず好意的に受け入れられているようです。また、店員にとっても、急いでレジ打ちを済ませる必要がなく、お客さんと談笑しながらリラックスして仕事ができて、双方にとって良い結果を生んでいます。
スーパーマーケットにおけるカスタマーエクスペリエンスの向上を考える時、正攻法ではスピードや効率、レジの待ち時間の短縮等が挙げられ、結果としてセルフレジや無人レジの導入が進みます。
一見、「おしゃべりレジ」は採算を求める現代の流れに逆行しているように映りますが、スピードや効率といった合理的な価値に、人間的な温かみを持つ感情的な価値が加えられ、全体として顧客のカスタマーエクスペリエンスを押し上げることにつながる分かりやすい例と言えるでしょう。
みなさんも、視点をちょっと変えるだけで、新しいアイデアやビジネスチャンスが見つかるかも知れません。