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    バーナム効果とは?


    「バーナム効果(Barnum effect)」とは、誰にでも当てはまるような一般的な性格や特徴を言われた人が、
    自分に当てはまっていると思い込んでしまう現象のことです。
    1948年に学生に対して行った心理テストの実験でこの現象を確認した、Bertram R. Forerの名前をとって
    「フォアラー効果(Forer effect)」とも呼ばれます。

    19世紀のアメリカでこの効果を用い成功を収めた、フィニアス・テイラー・バーナム(Phineas Taylor Barnum)の言葉に
    「We've got something for everyone.(誰にでも当てはまる要点というものがある」)」というものがあります。
    彼にちなんでPaul Meehl(1956)が自らのエッセイ内で「バーナム効果」と名付けました。
    また、心理テスト結果など、記述に権威性があり、
    ポジティブな内容が多いほどより強くこの効果は現れるとされています。


    下記に実際にとある占いサイトの今日の運勢欄に掲載されていた文章を引用します。
    ちなみに、このサイトは検索順位でも上位に出てくるようなメジャーなページです。

    「今日のさそり座は残念ながら12位です。新しい挑戦は避け、ゆっくりとお家で過ごすのがベター。また、体調を崩しやすい日なので注意しましょう。ラッキーアイテムはホットココアとモコモコの靴下。」

    よくある占い結果です。客観的に読んでみると、多くの人に当てはまるような内容だと思えませんか?当たり障りのないアドバイスともいえます。
    しかしこれを読んださそり座の人が、たまたま風邪の引きかけであればどうでしょうか。そういった人は占いの結果がどうであろうと家で安静に過ごすべきでしょう。
    ホットココアやモコモコの靴下も、体を温めるものなので風邪を悪化させることはなく、快方へ向けてくれる可能性もあります。
    また、この結果が出たのはかなり気温も低く天気も悪かった12月のとある日でした。そのために、気圧や気候の影響で不調な人が多かったと思われる日です。
    これらのことを踏まえ、もう一度上の結果の文を読んでみてください。
    この占いの結果を信じたさそり座の人が家でゆっくりと過ごし、ラッキーアイテムを使って体を温めていれば体調をひどく崩してしまうことはあまりないといえます。
    反対に、とても寒く天気の悪い日に新しいこと(すなわち慣れていないこと、心身にある程度のストレス=緊張 がかかること)を始めてしまった場合、
    星座や運勢とは関係なく、どんな人でも体調を崩しやすくなってしまうのではないでしょうか。
    しかし、このような自分の行動で体調を崩した人は「占いで注意されていたのは自分のことだったのか…」と思ってしまうのです。

    この例では12位の結果を引用しましたが、1位の結果の場合でも同じです。
    「1位の○○座は最高の1日なので、前からやってみたかった新しいことに挑戦してみましょう!」と言われた○○座の人が、
    何かに挑戦したいと思っていたらどうでしょうか。しかもここでは”前からやってみたかった”という前置きがついています。
    そのような場合「自分の背中を押してくれた!この占いは自分のことを言ってくれている!」と思うのではないでしょうか。
    また、ほとんどの人は何か新しいことに挑戦したいと思っています。
    (ここでいう”挑戦したいこと”は仕事や趣味等の内容に限らず髪の分け目や口紅の色といったちょっとしたイメージチェンジだったり今日のランチのメニューだったりと規模の大小は関係ありません)
    そのためこの占いの結果は誰にでも当てはまるといえるのですが、それにも関わらず、人は自分のことを言われていると思ってしまいます。

    これがバーナム効果を活かしたテクニックです。


    WEBサイトに活かす



    バーナム効果は、主にキャッチコピーなどのライティングにおいて効力を発揮します。
    今回は2つの実例を挙げます。

    ①「いたみは止める。 わたしを止めない。」
    バファリンのCMで使用されているキャッチコピーです。
    頭痛や腹痛などを抑えるため鎮痛剤を飲んで眠くなってしまう、という経験は多くの人にとって1度はあると思います。
    このようなネガティブでも多くの人に当てはまる事象を、あえてキャッチコピーとして使用することで
    CMを見た人の印象に残りやすくしています。
    ※この例ではバーナム効果だけではなくネガティブ・バイアスという脳の働きも使われています。

    ②「一瞬も一生も美しく」
    資生堂の有名なコーポレートメッセージです。
    人間であれば老若男女問わずほとんどの人が抱くであろう、美しさへのあこがれや老いへの不安といった感情を
    短いなかでもしっかりと肯定してくれるキャッチコピーです。
    また、たった9文字のみで構成されているコピーのため、マジカルナンバーの法則(7±2)にも当てはまるといえます。




    これらのように、うまくバーナム効果を活かすことで人の印象に残りやすいキャッチコピーを作ることができます。
    今回挙げたものはどれも短かったですが、もっと長いコピーやアオリ文にも活かすこともできます。
    例えば、LPにおけるリード文や商品紹介文に活かすことで、CVアップも狙うことができます。見るからに誘導しているようなものでなく、さりげなく組み込んでいくことで繊細なユーザーの無意識、潜在意識にも働きかけることができるのではないでしょうか。


    最後に


    いかがでしたでしょうか?
    今回は心理学におけるバーナム効果についての解説でした。
    皆さんの生活に活かして下さいますと幸いです。

    最後まで読んで頂きありがとうございました。
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