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「マジカルナンバー」という単語を聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?
おまじない、占いの結果、魔法の呪文…など様々なものがあるかと思いますが、
この記事では心理学におけるマジカルナンバーについて解説します。
マジカルナンバーとは?
マジカルナンバーとは、人間が瞬間的に保持できる情報の数が「7±2」であるとするものです。
George Armitage Millerによる 『The Magical number seven,plus or minus two』(1956)で登場した、
人間が短期記憶に保持できる情報の数は5~9個だという主張で、
「マジカルナンバー7±2」「ミラーの法則(Miller’s law)」とも呼ばれています。
また、ここでいう短期記憶とは人間が瞬間的に記憶できる情報のことで、
数十秒程度しか記憶されず、情報の容量のサイズにも限界があるとされています。
ミラーは、保持する情報の単位を「情報の1かたまり」として「チャンク(chunk)」と呼び、
短期記憶で保持できるチャンクは「7±2(つまり5~9)」と定義しました。
例えばこちらの2枚の画像において、青い丸は何個ずつあるでしょうか?
正解は1枚目が15個、2枚目が7個です。
おそらく1枚目の方はぱっと見ただけではなく、頭の中で1,2...と数えたり、指を使って数えられた方が多いかと思われます。
2枚目の方が1枚目よりも早く分かった方が多いのではないでしょうか。
このように数のかたまりが少ないほど、情報を早く認識しやすいのです。
WEBデザインに活かす
さて、このチャンクの考え方をWEBデザインに活かした例を2つ紹介します。
①ナビ内のメニュー項目数
コーポレートサイト上部固定のナビを作成してみましょう。
まず案Aがこちらです。
続いて案Bがこちらです。
どちらがより良いレイアウトに感じますか?
ちなみにAは項目が14個、Bは5個あります。
Aのように項目の数が多いと、どこから見たら良いか分かりにくく、ユーザーの思考を停止させてしまいます。
また、目的の項目を見つけるのにも目が迷子になってしまい、苦労するかと思います。
Bはマジカルナンバー7±2の考え方に基づき、項目数が7個前後になるよう調整した例です。
「商材A」「商材B」「商材C」を「サービス」、
「新卒採用」「中途採用」を「採用情報」の下層ページにまとめることで、かなり見やすくなったと思われます。
このように、目で追う項目数を減らすことで、ユーザーの求めている情報が見つけやすくなりました。
②タイトルの文字数
タイトルや見出しなどといった、文字数にもマジカルナンバーの考え方は適用されます。
次の2つの文章を見てみましょう。
A:○○デパートでプレゼントを購入して、クリスマス当日に向けた準備を始めよう!
B:○○デパートで、クリスマスの準備を!
何かの記事のタイトルだとして、どちらがよりわかりやすく感じましたか?
ちなみにAは34文字、Bは18文字の文章で、句読点の数は同じです。
内容はどちらも「○○デパートでクリスマス用の商品を買ってもらいたい」というものです。
1単語をチャンクとして考えると、下記のように区切ることができます。
A:○○デパート/で/プレゼント/を/購入して/クリスマス/当日/に/向けた/準備/を/始めよう
B:○○デパート/で/クリスマス/の/準備/を
チャンク数でいえば、Aは12個、Bは6個になりました。
皆さんも、Bの方がAよりも早く文章の内容を理解できたのではないでしょうか?
つまりここでもマジカルナンバーの考え方が適用されるといえます。
このように、一度に目に入る文字数を調整することで、
より素早く正確に、書いてあることの意味を認識できるようになります。
また、文章においては、①で例に挙げたメニュー項目のようにただ数を減らすだけではなく、
内容を変えないまま、いかに文字数を削るかがポイントになります。
そのため、辞書や検索などをうまく使い、どんな人が読んでもしっくりくるような言い替えをすることが必須だといえます。
最後に
今回紹介したマジカルナンバーは、7±2という説のみではなく
4±2とする説(Nelson Cowan.(2001). The magical number 4 in short-term memory: A reconsideration of mental storage capacity.)や、
3のみがマジカルナンバーだとする説(3の法則)もあるため、
その時の場面によって数の力を使い分ける方法が最良といえます。
いかがでしたでしょうか?
今回は心理学におけるマジカルナンバーについての解説でした。
皆さんの生活に活かして下さいますと幸いです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。