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    ノンバーバルコミュニケーションとは?

    非常口

    言葉やテキストを使わずに相手に何かを伝えることを”ノンバーバル(非言語)コミュニケーション”と呼びます。

    1964年に日本で開催された東京オリンピック、当時は今より言語の壁も大きく、外国人旅行者のほとんどは初めて訪れる日本の文化や文字を理解することができません。そんな外国からの来訪者をもてなす方法として、当時最先端のデザイン技術を学んだ日本人デザイナーチームによって考案されたのが、「非常口」「トイレ」といった案内表示に使う”ピクトグラム”です。

    素晴らしい選手たちの活躍は無論のこと、言語に関係なく誰にでも直感的に理解できるノンバーバルなデザインの活躍により、東京オリンピックは大成功を収めました。

    それから50年以上の時が経ち、世の中のさらなるグローバル化や多様化が進む現在、コミュニケーションの非言語化や簡略化がより一層求められ、その表現やデザイン手法も日々進化を続けています。

    この記事ではデザインにおけるノンバーバルコミュニケーション=“ノンバーバルデザイン”の手法を紹介します。

    アイコン

    ブルー

    アイコンは、元々コンピューターを初めて扱う初心者が操作するのを容易にするために開発されました。

    主に説明書・教科書・辞典という紙媒体から、Web・インターネット・機械を動かすプログラムコードの中まで多種多様に存在します。
    重要な部分に「!」とマークをつけるだけでその箇所のテキストの内容を見る人間に重要な部分を知らせたり・・・
    機能ボタンの横に置くだけで、どのような機能か解り易くさせたり・・・
    バラバラに配置されたイラストに数字を順番に配置すれば、どのような順番で理解して行けばいいのか教えてあげることもできます。

    近年では、人と人がネット上でコミュニケーションし合うSNSに活躍の場を広げています。普段インターネットを使わないユーザーに向けて作られたアイコンは優秀なUIインターフェイスの一部として使用されています。

    映像

    映像

    映像は何の変哲もない物体に「動き」を加えることによって情報を追加させることに優れています。名前や説明を加えなくても、動きが付くことで(ここで挙げている丸い物体が)何なのかを伝えることができるのです。

    ここに動かない丸い物体が存在するとします。
    重力に逆らって跳ねるような動きがあればそれは”ボール”
    少しづつかじられる動きがあれば”食べ物”
    どんどん大きくなり、破裂してしまう動きがあれば”風船”
    すなわち、映像におけるノンバーバルデザインとは、「動きのバリーエーション」にあります。

    漫画

    漫画

    実はノンバーバルデザインは漫画にも存在しています。

    吹き出しは一般的にはキャラクター同士の会話やモノの動作音を中に入れることで、つけられた物質の動きや効果音、そして魅力まで最大限引き出させることができ、さらには音のボリュームや速さ、大きさやトーンなどを音を聞かせることなく読者に伝えることができます。

    線は吹き出しとは違い音ではなく”動き”で伝えるノンバーバルデザインです。

    キャラクターの動く方向に合わせて背景に組み込むとよりスピード感あふれる絵になる「効果線」、読者に強く印象付させるために使われる「集中線」など種類は様々です。

    ゲーム

    ゲーム

    ゲームを操作するのに欠かせない「コントローラー」。

    メーカーは違えどボタンの配置が似たような構成になっているのはお気づきでしょうか。
    コントローラー付きのゲーム機が一番最初に開発された任天堂の「ファミリーコンピューター」が祖に当たり、誰もが一目見ただけで操作の仕方が分かるとてもシンプルで解り易いモノとなっていました。この形は他のメーカーも真似、ゲームは時代と共に進化しましたが、いまだにほとんど変化の無い最高のノンバーバルデザインとなっていたのです。

    私たちのすぐそばに存在するノンバーバルデザインはどのような形で皆様の目に映りましたでしょうか。

    「デザインと一言で言っても「音」「イラスト」「動き」など表現は様々です、表現手法もほぼ無限に存在します。
    一見気づきにくいノンバーバルデザインですが、意識を凝らして街中を歩き、日常に潜むノンバーバル手法を見つけ出すのも楽しいかもしれません。

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