目次
HCD基礎検定の概要
HCD基礎検定とは
「人間中心デザイン(HCD)基礎知識体系」をベースとした検定試験制度です。2020年にNPO法人人間中心設計推進機構(HCD-Net)のHCD専門資格認定センター内WGグループが、HCDに関する基礎知識体系をまとめるとともに、制定した検定試験です。
出題範囲
受験メリット
受験者
・HCDの基本的な概念/基礎知識/プロセスを体系的に学ぶきっかけになる
・HCDの専門家やUI/UXデザイナーとの協業が円滑になる
・専門家を目指すためのファーストステップとしても位置づけられる
・部門横断的な人材に必要な知識/マインドの獲得とコンピタンス醸成のきっかけになる
・HCDの専門家やUI/UXデザイナーとの協業が円滑になる
・専門家を目指すためのファーストステップとしても位置づけられる
・部門横断的な人材に必要な知識/マインドの獲得とコンピタンス醸成のきっかけになる
企業・団体
・利用者視点での製品・サービス作りを考えられる人材が増える
・デジタル人材教育のカリキュラムやリスキリング教育としての組み込みが可能
・利用者中心の製品・サービスの実現に積極的な企業/団体としての価値向上につながる
・デジタル人材教育のカリキュラムやリスキリング教育としての組み込みが可能
・利用者中心の製品・サービスの実現に積極的な企業/団体としての価値向上につながる
HCDとは
製品やシステムやサービスを、人間工学やユーザビリティの知識や技法を使って、そのシステムをより使いやすくすることを目指すシステム設計開発のアプローチです。
下記の3つのベースには人間中心設計(Human-Centered Design、HCD)という考え方があります。
ユーザビリティ
ユーザビリティは製品やサービスにおける目標を達成する時の使いやすさ(有効さ・効率・満足度)の度合です。
ユーザエクスペリエンス
ユーザエクスペリエンスは、使いやすさだけでなく、ユーザー体験を総合的にとらえることです。
デザイン思考
・IDEO社:デザイン思考とはデザイナーの感性と手法を用いて、ユーザーのニーズと技術的な実現性、持続的なビジネス戦略を考慮することで、顧客価値を市場機会にしていく手法です。
・ノーマン:デザイナーは対処すべき基本的で根源的な課題は何かを見極めるのにまず時間を費やす。彼らは、本当の問題が何かを見定めるまでは解決策を探そうとしない。問題が定まったときでさえ、問題を解決しようとはしない。彼らは立ち止まって、広い範囲から可能な答えを探す。そうして初めて、最終的に彼らの提案を収束させていく。このプロセスはデザイン思考と呼ばれます。
HCDの原則
原則として、ISO 9241-210では6つの原則がありHCDという考え方の基本になっています。
1.ユーザーやタスク、環境に対する明確に基づいてデザインする
2.設計や開発の期間を通してユーザーの視点を取り込む
3.設計は人間中心的な評価によって駆動され、また洗練される
4.プロセンスは反復的である
5.設計はユーザエクスペリエンスの全体に焦点を当てる
6.設計チームには多様な専門領域の技能と見方を取り込む
3.設計は人間中心的な評価によって駆動され、また洗練される
4.プロセンスは反復的である
5.設計はユーザエクスペリエンスの全体に焦点を当てる
6.設計チームには多様な専門領域の技能と見方を取り込む
人間中心設計入門 HCDライブラリー0巻 p32~33参照
HCDの目的
適切な製品やシステムやサービスを提供することによって、ユーザーの目標達成行動をできるだけ直線に近いものにしようとしています。
苦い経験をできるだけ少なくし、嬉しい経験をできるだけ豊かにしようとする設計への取り組み方です。
人間中心設計入門 HCDライブラリー0巻 p32~33参照
HCDのプロセス
HCD開発プロセスに順番に行うのではなく、継続的に繰り返すことで、使いやすさを継続的に向上させるサイクルです。
主に段階に活動を記載しています。
1. 人間中心設計プロセスの計画
具体的にはプロジェクトの目標を考慮して、HCDサイクルを開発プロセスのどの段階に、どのように導入するのかを計画する。
ウォーターフォール型開発:
企画から、デザイン、基本設計、実施設計を経て、開発終了に至るまでのフェーズに対して、HCDサイクルの4つを当てはめる。
アジャイル型開発:
小規模な製品やシステム、サービスの開発などでは、プロトタイピング手法を企画段階から取り入れて、作りながらユーザー要求を満たしていく。
2. 利用状況の把握と明示
利用者の行動とその背景や要因を理解し、明確にする活動。
明確にすること:
ユーザーの特性・タスク・設備・環境
手法:
・定量的手法(アンケート)・定性的手法(観察・インタビュー)・フィールドワーク・エスノグラフィ・ダイアリー法(フォトダイアリー法・時間枠ダイアリー法・回顧インタビュー)・インタビュー
3. ユーザーの要求事項の明確化
利用状況を体系的に記述し、満たすべき要件を定義する活動。
想定ユーザーとその利用状況を明確にしてチームで共有します。
ペルソナ:
対象ユーザーはどのような特性や価値観を明確にするためもの。
ジャーニーマップ:
ユーザーが目的を達成するにあたってたどる流れを旅(ジャーニー)のプロセスに見立てて可視化するもの。
手法:
ブレインストーミング・JK法・ワークモデル・グラウンデッドセオリー法(GTA法)・品質機能展開
4. ユーザーの要求事項を満足させる設計による解決策の作成
定義された要件に基づいき最適な解決策を生み出す活動。
人間中心設計入門 HCDライブラリー0巻 p135参照
その他アイデア創出法:
パターン・ランゲージ:共通言語化することで、誰もがデザイン活動に参加できる。
共感的デザイン:観察者が1人で出向くよりも、異なる分野の専門家複数人で出向いた方が良い結果が得られる。
参加型デザイン:主に、設計・デザインプロセスに実ユーザーの参加を求めるアプローチのこと。
プロトタイピング
設計開発の過程で完成した状態を仮想的に表現した試作物をつくりながら、最終的な姿を確認したり評価したりしながら、徐々に機能を作り込んだり、追加したりしていくやり方のこと。
ラピッドプロトタイピング:プロトタイピングを高速で回していくやり方のこと。
ペーパプロトタイピング:基本的にはラフスケッチやスクリーンショットを操作手順に配置したストーリーボードに似たもの。
5. 要求事項に対する設計の評価
生み出された成果物を要求事項に照らして評価し、当初定義した利用者の要求を満たしているかを確認する。
満たしていれば「要求事項へ適合している」こととなり、実装に移す事ができます。
人間中心設計入門 HCDライブラリー0巻 p34~35参照
手法:
ユーザビリティテスト(発話思考による分析・NEMによる分析)・インスペクション法・ヒューリスティック法・認知的ウォークスルー法・心理学的手法(ロギング)・長期的評価・UX評価
最後に
顧客体験の向上が企業の成功において不可欠な要素となり、その中でもHCDがますます注目を集めています。企業は、HCDを単なる設計手法以上のものと位置づけ、これを重要な経営資源として活用することが求められています。
持続的なイノベーションを通じて、顧客にとって魅力的で満足度の高いUXを持続的に提供し続けることが求められています。
非連続的なイノベーションを通じて、従来の枠組みを超えた新たな価値を生み出すことが期待されています。
このような視点から、HCDの学習と実践は絶えず深められるべきです。
ゼロでこれからHCDを学ばれる方にもおすすめです。ぜひ皆さんもチャレンジしてみてください!