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みんなの冷蔵庫
売れ残りや賞味期限が近いなどの理由で、食べられるのに捨てられてしまう食品ロス。日本のみならず、先進国の間で警鐘が鳴らされています。
食品ロスに対する取り組みで一歩進んでいるのがフランス。フランスでは2025年までに食品廃棄物を50%削減するという目標を掲げており、2016年には「食品廃棄禁止法」が世界で初めて制定されました。床面積400㎡ 以上のスーパーは売れ残った食品を寄付することなどが義務付けられ、民間レベルでの取り組みも活発です。
そんな中、2017年にパリにあるレストラン「La Cantine du 18」の経営者ドゥニア・メベトゥルさんの呼びかけで広まったのが、「みんなの冷蔵庫 Les Frigos Solidaires」。
前面が透明のガラスなので、何が入っているのか一目でわかります。誰かが食べ物を補充して、別の誰かが持ち帰る。自宅や商店・レストランなどで使いきれなかった食料品を、必要な人が持ち帰れるよう町のなかに置かれたこの「みんなの冷蔵庫」。1台につき、1日約40人が寄付し、50人ほどが消費します。今ではフランス全土に広まり、パリ市内で15か所、国内で70か所に広がりました。
フランスでは、年間ひとりあたり29kgの食料が捨てられ、そのうち7kgは封も開けられていない状態だといいます。その大いなる無駄の解消につながる第一歩。
また、単なる無料の冷蔵庫サービスではなく、地域の助け合い制度を作り、お金がなく孤立する人々と社会的な関係を結ぶことも目的となっています。
物価高等で多くの人が食べ物の確保に苦労している一方で、まだ食べられる食品が日々、大量に廃棄されている現代。みんなの冷蔵庫は、この矛盾した社会問題解決の一助になるのではないかと感じます。