目次

    著作者と著作権

    著作者は著作物を作った人、著作権はその著作者に付与される権利です。著作者は変更されないけど著作権は譲渡できます。

    著作権とは

    著作権法によると、著作物とは「思想または感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの」であるとされています。
    つまり、自分の考えや気持ちを創作的に表現していて、文芸、学術、美術または音楽などの形になっているものです。創作性があれば、プロアマ問わず子供の落書きでも著作物となります。

    著作物の定義に当てはまらないものは何かというと、事実の伝達に過ぎない時事報道や、駅前の交通量などのデータなどは「思想や感情」を表現していないので、
    制作中のアイデアや、設計図なんかは「表現」されていないので著作物ではありません。
    よく「キャラクターには著作権が無い」と言われるのはこのことを指しています。私たちが思い描くキャラクター像自体は構想段階のアイデアに過ぎないため、著作物とは言えないのです。キャラクターを使ったイラストや映像などの形として表現されると著作物として扱われます。

    著作物の定義については、文化庁のサイトで例示列挙されています。


    「著作財産権」と「著作者人格権」

    著作権をさらに細かく見て行くと、「著作財産権」「著作者人格権」に分けられます。

    著作者人格権

    著作者人格権とは、著作者の人格を尊重するための権利です。具体的には以下の3つを指します。

    1 公表権…作ったものを公表するかしないか、公開時期などを決められる権利
    2 氏名表示権…名前を公開するかしないか、変名(ペンネームなど)にするかなどを決められる権利
    3 同一性保持権…著作物の内容やタイトルを自分の意思に反して変更されない権利

    著作者人格権の利用

    著作者人格権は著作者から他人に譲ることができません。
    著作物を創作した時に生まれ、著作者が死ぬと同時に消滅します。(死後でも著作者の名誉声望を傷付けるような使い方はNGだったり、色々と例外はあります。)

    著作財産権

    著作財産権とは、著作者の財産を守るための権利です。具体的には以下を指します。

    1. 複製権…著作物を(印刷や模写、録画などさまざまな方法で)コピーする権利(TV番組を家のレコーダーに録画して自分で楽しむなどの私的利用は例外です。)
    2. 上映権…著作物を公に上映する権利
    3. 譲渡権…映画以外の著作物の原作品または複製物を譲渡する権利
    4. 貸与権…映画以外の著作物の複製物を公衆に貸し出す権利
    5. 公衆送信権…著作物を公に放送などする権利
    6. 展示権…美術の著作物と、未発行の写真の複製物の原作品を公に展示する権利
    7. 上演権・演奏権…著作物を公の場で上演、演奏(CD再生含む)する権利
    8. 口述権…著作物を朗読などで公に伝える権利
    9. 翻訳権・翻案権…著作物を違う言語に翻訳したり、編曲、変形、翻案などする権利
    10. 頒布権…映画の著作物を販売・レンタルする権利
    11. 二次的著作物の利用権…二次的著作物(漫画原作の映画化のような)にも上記と同じ権利を持つ。
    などが含まれます。(ざっくり…)

    著作財産権の利用

    著作財産権は他人に譲り渡すことができます。
    契約内容によっては、受託者が全く著作権を行使できないように専用の権利として丸ごと譲渡することもできますし、一部だけや、複数人(複数社)に同じ権利を譲渡することもできます。
    ただし、著作権を譲ってもらって、成果物(例えばWEBサイト)を更新しようとした時に、著作者から「同一性保持権(著作物をコピーする権利)の侵害だ」と言われては困ってしまいます。そんな時は著作者人格権を使いませんといった「著作者人格権の不行使」を契約内容に含めることもできます。

    著作権の利用

    著作権の発生タイミング

    著作権は、著作物を創作した時に発生します。未完成だとしても、その人なりの創作性が見られた段階で既に著作物です。著作者財産権は一般的には著作者の死後70年まで続きます。このような状態をPD(パブリックドメイン)と呼びますね。

    Copyright

    WEBサイトにCopyright(コピーライト、©)をつけるのはこのサイトの著作権(上記にあげたような色々な権利)を持っているから侵害しないでね!といったマークです。実は、著作物は制作した時点で著作権が付与されるので、日本ではCopyrightが無くても大丈夫なのですが、著作権保持者が明確になったり、ユーザーが見たときに著作権に保護されているんだなという印象を与えられるのであった方が尚良しです。

    職務著作

    仕事中に制作したものの権利は誰が持っているのかといった話ですが
    業務に基づいて制作したものは社員個人ではなく、その個人を監督・指揮した雇用主や業務委託者に著作権が付与される「職務著作」といった形になります。制作著作〇〇会社といった感じに収まるわけです。

    終わりに

    以上、著作権の概要をお話させていただきました。個人的に、勉強したことでこういう仕組みだったのか!とスッキリした反面、曖昧なままにしているといつかとんでもない落とし穴に落ちそうだな…と怖くもなりました。仕事に活かしていきたいです。
    ここまでお読みいただきありがとうございました。
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