目次
どのスペックを選択するか?クラウド環境の「ちょうどいい」を見つけよう
前回は、AWSの基本的な仕組みや用語を中心にご紹介しました。今回はその続きとして、「どのスペック(性能)を選ぶべきか?」という疑問にフォーカスします。WEBディレクターが開発チームやインフラ担当と会話をする中で、「インスタンスタイプ」や「ワークロード」といった言葉が出てくることがあります。なんとなく聞き流していた言葉も、この記事を読めば少しだけ見える景色が変わるかもしれません!
「ワークロード」ってなに?
まずは、よく出てくる「ワークロード」という言葉の意味から確認しましょう。ワークロードとは、システムやコンピュータが処理する作業のこと。つまり、「そのサーバーが何をしているのか?」という中身の部分です。
▼例えばこんな作業がワークロードです:
●ウェブサイトのアクセス処理
ユーザーがページを表示するたびにサーバーが処理を行います。
●データベースのクエリ処理
アプリが情報を検索・保存する動きのこと。
●バッチ処理
月末に一括でデータを集計するような定期処理など。
ワークロードは軽いものから重たいものまでさまざま。
サーバー(インスタンス)を選ぶときには、そのワークロードの性質に合ったスペックを選ぶのが重要です。
EC2:インスタンスの選び方
AWSでは、仮想サーバーのことを「EC2インスタンス」と呼びます。そのスペック(性能)をどう選ぶかが、安定した運用のカギとなります。

● インスタンスタイプとは?
CPU・メモリ・ストレージ・ネットワークなど、いわば「どんなマシンか?」というハード構成のことを指します。
● インスタンスファミリーとは?
インスタンスには「特徴別にグループ」があります。例:m5n.large
この場合、mは「バランス型」ファミリーで、さまざまな用途に向いています。
汎用のmインスタンスファミリーは、インスタンスファミリーの土台となっており、重視するべきリソースがわからない場合、Mインスタンスファミリーを選択すれば無難です。もちらん専門的に知識のある方に聞くのがベストかと思いますが。
主なファミリー:
t:バースト性能(低負荷・安価)
m:汎用(バランス型)
c:高性能CPU(計算に強い)
r:大容量メモリ(データ処理向け)
g:GPU搭載(機械学習・ゲーム)
● インスタンスサイズとは?
同じファミリー内でも、サイズによって性能が異なります。たとえば、m5.large より m5.4xlarge の方が圧倒的にパワフルです。
もし作成した後にもっとメモリがほしい、より高いCPU性能が欲しいといった場合の、インスタンスサイズの変更もEC2ではできます。
サイズ順は以下のようになります:
nano → micro → small → medium → large → xlarge → 2xlarge → 4xlarge …
どのインスタンスを選べばいい?
まず迷ったら、汎用の M 系インスタンス(m5 など)が無難です。軽い処理なら t2.micro
物足りなければ t2.large
本格運用や中規模アプリなら m5.large 以上
大きすぎるとコストが無駄、小さすぎると性能不足になります。
状況に合わせて「スケールアップ・ダウン」できるのがクラウドの強みです。
また、最新世代(例:m4 → m5 → m6)のほうが高性能&コスパがいいので、なるべく新しい世代を選ぶのがおすすめです。
RDS:データベースのインスタンス
RDS(Relational Database Service)にも、EC2と同じようにインスタンス選びが重要です。主なインスタンスクラス:
m:汎用(m5、m6g など) → 中小規模のDBに最適
r / x / z:メモリ重視 → 大規模データ処理向け
c:CPU重視 → 高速な処理が必要なケース
t:低コスト&バースト型 → 軽量ワークロードに最適
たとえば、m5系は安定した性能とコストバランスで使いやすく、
中〜成長期のサービスにぴったりです。
ELB(ロードバランサー)もおさえておこう!
トラフィックの集中を分散させるのがロードバランサー(ELB)の役割。 AWSでは4種類のELBがあります。種類 | 用途 | 特徴 |
---|---|---|
ALB(Application) | Webアプリ | HTTP/HTTPS向け。最も一般的 |
NLB(Network) | 高速ネットワーク | TCP/UDP向け、高パフォーマンス |
CLB(Classic) | 旧式 | 現在は非推奨。ALB/NLBを推奨 |
GLB(Gateway) | セキュリティ | セキュリティアプライアンス用途(専門的) |
WebサイトやAPI → ALB
ゲームサーバーや特殊な通信 → NLB
AWSの利用料の算出方法
ここまでで、構成やインスタンスタイプの目安がある程度つかめたかと思います。そしてそこまで理解できれば、実際にどのくらいの費用がかかるのか運用費が気になるとこです。
そんな時は、以下のサイトで大まかな料金シミュレーションができます!
▶︎ AWS料金シミュレーター(非公式)
もちろん実際の料金は利用状況や構成によって変わりますが、
まずはここで試算してみることで、費用感を掴むことができます。
最初からすべてを完璧に理解する必要はありませんが、これで、AWSにはどのようなサービスがあるのか、アーキテクチャの構成をどう捉えればよいのか、そしてインスタンス選びの基本的な考え方について、イメージできるようになったのではないでしょうか。
そうすることで、AWSの概算費用の算出までできるようになったかと思います。
これでディレクターが知っておくべきAWSの基礎を終わります。
まずはここで試算してみることで、費用感を掴むことができます。
まとめ
AWSには多種多様なサービスやインスタンスタイプがあり、目的や処理内容(ワークロード)に応じて最適なものを選ぶことが重要です。最初からすべてを完璧に理解する必要はありませんが、これで、AWSにはどのようなサービスがあるのか、アーキテクチャの構成をどう捉えればよいのか、そしてインスタンス選びの基本的な考え方について、イメージできるようになったのではないでしょうか。
そうすることで、AWSの概算費用の算出までできるようになったかと思います。
これでディレクターが知っておくべきAWSの基礎を終わります。