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    クレショフ効果とは?

    クレショフ効果(Kuleshov Effect)とは、関連が無い複数の写真や画像、映像同士の繋がりを無意識のうちに関連付けてしまう効果のことです。
    この効果により、たとえどんなに前後の脈絡や意味のない写真の羅列であったとしても、
    人の脳は勝手に意味付けて解釈をしてしまいます。
    この効果は旧ソ連の映画評論家であるレ・クレショフが、1922年にモンタージュ理論を検証する過程で発見しました。
    彼が行った検証実験では、以下の組み合わせの映像を被験者に視聴させました。

    パターン①スープの入った皿→無表情の男性
    パターン②棺に入った遺体→無表情の男性
    パターン③ソファーに横たわる女性→無表情の男性

    それぞれのパターンを見た後で、被験者は映像の男性がどのような感情を抱いていたかを想像し、述べました。
    結果、パターン①では「男性は空腹を感じている」、パターン②では「男性は悲しみをこらえている」、パターン③では「男性は欲望を抱いている」という意見が多数を占めていました。
    この実験により、同じ映像・画像を見ても、前後の映像・画像によって受け手の印象が変化するということが示されました。

    ちなみに:モンタージュ理論とは

    複数の映像を繋げることで、後の映像は前の映像の影響を受け、新たな意味が現れることを示した理論です。
    旧ソ連の映画監督セルゲイ・エイゼンシュテインや、アメリカの映画監督D・W・グリフィスによって提唱されました。
    この理論によって起こる心理効果が、クレショフ効果と呼ばれます。
    彼らが撮った作品のリンクを以下に貼りますので、もしよければ見てみてください。モンタージュ理論の一端を理解できるかと思います。

    セルゲイ・エイゼンシュテインが監督した「戦艦ポチョムキン」
    D・W・グリフィスが監督した「國民の創生」


    WEBサイトに活かす

    この実験からわかる画像の組み合わせによる効果は、WEBサイトの画像まわり、特にメインビジュアルの選定で活用することができます。
    スライドやカルーセル、組写真を用い、ストーリーをユーザーに感じさせることでイメージを操作することが可能になります。
    例えば、とあるフランス産のワインのキャンペーンページを作ることになったとします。
    ワインの商品写真だけでなく、広大なぶどう畑やみずみずしいぶどう、歴史を感じさせるワイナリー、おいしそうに飲んでいる人…といった写真も併せて用いることで、
    高級感や歴史、おいしさなどといったポイントをユーザーにアピールすることができます。

    実際にイメージを作成してみました。
    このイメージから、ワインに対しておいしくなさそう、品質が悪そう、といった印象を抱く方はあまりいないのではないでしょうか。
    今回は1枚の組写真のように並べていますが、並び順を変更したり、カルーセルなどを用いても、ユーザーの抱く印象は変化するでしょう。

    注意点

    認知バイアスの一種であるクレショフ効果は、良い印象だけでなく、悪い印象を強調してしまうこともあります。
    クレショフ効果を活かそうとする際には、ネガティブな方向へ効果が働くことがないように、細かい部分まで気を配ることが重要でしょう。


    最後に

    いかがでしたでしょうか?
    今回は心理学におけるクレショフ効果についての解説でした。
    皆さんの生活に活かして下さいますと幸いです。

    最後まで読んで頂きありがとうございました。
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