繊維業界の老舗BtoB企業は、採用活動の中心となるWebサイトが時代の変化に十分対応できていないという課題を抱えていました。情報発信の鮮度や訴求力、導線設計の最適化が不十分だったため、エントリー数は一定数確保できていたものの、選考への進捗率(歩留まり)が低く、採用効率の改善が急務となっていました。学生の志向や行動が多様化する中、Webを活用した新たなコミュニケーション戦略が必要とされており、本プロジェクトではサイトリニューアルを起点にCMS導入とコンテンツ再設計による抜本的な改革を実施しました。
採用活動の質と効率を飛躍的に向上
繊維業界BtoB企業のデジタル変革成功事例
課題
情報構造と導線の不備が採用歩留まりを阻害
従来の採用サイトでは、企業の魅力が十分に就活生へ伝わらず、情報構造や導線が分かりづらいことが大きな障壁となっていました。SEO対策も不十分で、コンテンツは企業主体のメッセージに偏り、求職者目線での情報提供が不足していました。また、スマートフォン対応も限定的で、ユーザー体験に課題が残っていました。
特に深刻だったのは、WebエントリーからWebテスト受験への移行率が約50%未満にとどまり、採用フローの初期段階で多くの離脱が発生していた点です。
施策概要
“なぜ働くのか”を伝えるコンセプト策定と設計刷新
まず、「なぜ働くのか」「どんな成長が得られるのか」といった根本的な価値を可視化するため、企業と共同でコンセプトワークを実施しました。「To Do」から「To Be」へ——就活生が自身の将来像を重ね合わせられるサイト設計を目指し、情報構造を一新。導線設計もストーリー性を持たせて再構成しました。
さらに、CMSを導入することで、更新性・拡張性に優れた運用体制を構築し、社内からタイムリーな情報発信を可能としました。
施策のポイント
「共感」「体験」「更新性」を軸とした4つのアプローチ
本プロジェクトでは、以下4点を中心に施策を推進しました。
- 共感型コンテンツの強化
社員の一週間や部門診断、No.1社員の紹介など、リアルな情報を通じてターゲット学生が「自分ごと」としてイメージしやすい設計を実現。 - コンテンツの最適化
テキストリライトや写真の差し替え、不要ページの削除により、情報の精度と訴求力を向上。 - CMS導入による運用効率化
社内でのスピーディーなサイト更新を可能にし、外注コスト削減とSEO強化を両立。 - ストーリー性のある導線設計
TOPページからエントリーまでの情報導線を戦略的に再設計し、離脱防止と動機付けを実現。
成果
CVR2.1倍、SNS流入3.8倍、年間運用コスト25%削減
- CVR2.1倍
WebエントリーからWebテスト受験までのCVR(コンバージョン率)は2.1倍に向上。 - SNS流入数3.8倍
SNSとの連携強化により、SNS経由の流入数は3.8倍に増加しました。 - 年間運用コスト25%減
さらに、CMS導入による外注費削減で、サイト運用コストは年間約25%削減。 - サイト滞在時間1.6倍
インフォグラフィックや動画追加により、サイト滞在時間も約1.6倍に伸長し、エンゲージメント向上にも寄与しました。
成功要因と今後の課題
“本音”と“自分ごと”を引き出す構造改革が成果の鍵
最大の成果は、ターゲットユーザーである学生に対し、“企業の本音”と“自分の未来像”を具体的に伝えられるようになった点です。コンセプトワークから始まる共創型プロセスと、CMS導入による情報発信の自走化が、継続的な改善体制を生み出しました。更新しやすい構造と、視覚的にも訴求力のあるコンテンツ設計が相まって、採用サイトは単なる告知ツールから「共感の入口」へと進化しました。今後は、SNS活用の最適化や、行動データを活用したUXのさらなる精緻化によって、より一層の改善を目指していきます。
#KPI・CVR改善
#戦略設計・ブランディング
#CMS導入・運用効率化