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    日本に次ぐ世界第2位のマンガ大国、フランス

    フランスのマンガ市場は日本に次ぐ世界2位の規模。読者数は約700万人と全人口の10%超に相当する水準で、その牽引役は日本のマンガです。

    フランス政府は2021年、18歳以下の若者を対象に「カルチャーパス」を交付。スマートフォン、パソコン、タブレットの専用アプリをダウンロードすると300ユーロ分が使える仕組みで、書籍の購入や映画やコンサートのチケット予約などさまざまな文化活動への支出に充当できる施策でした。

    ところが、フタを開けてみれば、「カルチャーパス」は「マンガパス」と化します。『鬼滅の刃』『ワンピース』『僕のヒーローアカデミア』といった人気シリーズの全巻を購入する若者が相次いだのです。

    日本のマンガはフランスの高速列車TGVの車内でも読めるようになりました。車内エンタメ用のポータルサイト「TGV inOui」を通じた電子マンガの無料配信が始まったのです。

    コンテンツを提供するのは、マンガアプリのサブスクリプションを手掛けるMANGAS.IO。同社が2021年に立ち上げたプラットフォームのモバイルアプリは「マンガのネットフリックス」と称されるなど、注目のスタートアップ企業です。コロナ禍でフランスにおけるマンガ・アニメ熱は一段と高まり、MANGAS.IOにも追い風が吹きました。月間利用者数は現在、約15万人を数えます。

    同社はフランスのKaNa、Ki-oonといった業界大手だけでなく、集英社、双葉社など日本も含む世界約30の出版社と連携、約250の作品をそろえます。利用者は月額6.9ユーロ(約1090円)で全作品を購読できます。

    TGVでの配信開始は、運行するフランス国鉄(SNCF)とのパートナーシップ締結に伴うもので、TGVのポータル経由で15の出版社の約50作品を提供しています。毎月の来訪者は約200万人にのぼります。「フランスのマンガ読者の80%は30歳未満」で、若年層の乗客の掘り起こしを図りたいSNCFと利用者増を目指すMANGAS.IOの双方の思惑が一致した格好です。今回の両社の提携も日本のマンガがフランスの社会に深く根付いていることを示す良い例と言えるでしょう。

    1980年代後半、日本のアニメやマンガの暴力シーンの多さなどに対する批判的な見方がフランスで台頭しました。中でも、日本のアニメ・マンガブームの火付け役とされる「UFOロボグレンダイザー(仏では「ゴルドラック」)や「ドラゴンボール」などにその矛先が向けられました。

    しかし、今では「マンガ(manga)」という言葉がフランス語として広く浸透。以前は日本のマンガは子ども向けというイメージが強かったですが、今ではファンの裾野が広がっています。マクロン大統領も若年層の有権者を意識してか、Xなどでマンガ好きであることを折に触れてアピール。MANGAS.IOが扱う作品は現在、全体の99%を日本のマンガが占めています。

    2022年の日本のコミック市場の規模は6770億円。電子コミックは4479億円で全体の66%あまりを占めますが、一方、フランスでは依然として「紙」が電子マンガを圧倒。電子の売り上げ規模はわずか2%にすぎません。コレクション目的で「紙」の日本マンガを爆買いする読者が多いからです。

    衰えを知らぬ日本のマンガ・アニメブームですが、19世紀後半から20世紀前半にかけてモネやゴッホなど印象派の画家が浮世絵に魅了され、団扇、扇子などの道具だけでなく技法まで自らの作品に取り入れるなどした「ジャポニスム」の熱狂を彷彿させます。

    参考:東洋経済オンライン (2023.11.07)

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