目次
まず何を決めるべきか
ターゲットやCV(問い合わせ、応募、資料DLなど)は、比較的早い段階で整理されることが多いと思います。ただ、実際のプロジェクトでは、その先に多くの意思決定があります。
この部分が曖昧なまま進行すると、ワイヤーやデザインの段階で「なんとなく違う」が発生しやすくなります。
① 誰向けか
重要なのは、単なる属性ではなく、「どの状態のユーザーに向けるか」まで整理することです。
例えば採用サイトでも、
・興味を持ち始めた段階
・他社比較をしている段階
・応募を検討している段階
BtoBサイトでも同様です。
・情報収集段階
・比較検討段階
・導入直前
② 何をしてほしいか
問い合わせなのか、資料DLなのか、応募なのか。CVが変われば、必要な情報量や導線設計も変わります。
例えば、
・まず信頼形成が必要なのか
・比較材料を提示すべきなのか
・不安解消を優先すべきなのか
つまり、
CVだけではなく、「CVに至るまでに何が必要か」を整理する必要があります。
③ 何を優先して伝えるか
サイトには、伝えたい情報が大量に存在します。・実績
・強み
・会社紹介
・事例
・制度
・メンバー紹介
・FAQ
ただ、重要なのは「すべて載せること」ではありません。
ユーザーが最初に判断したい情報から順番に提示することが重要です。
情報量ではなく、情報の優先順位を整理する必要があります。
④ ユーザーは何を不安に思うか
ユーザーは、情報を受け取る前に必ず不安を持っています。例えば制作会社サイトであれば、
・本当に成果が出るのか
・進行はスムーズなのか
・自社理解をしてくれるのか
・費用感は適切か
つまり、
「何を伝えるか」だけではなく、「何を解消するか」も設計対象になります。
⑤ どこまで運用できるか
ここは特に抜けやすいポイントです。参考サイトは完成状態しか見えません。
しかし実際には、
・誰が更新するのか
・月何本コンテンツを出せるのか
・撮影体制を維持できるのか
・CMS運用は可能か
公開時点では成立していても、運用で崩れるケースは非常に多くあります。
実際のプロジェクトで、いつ何を誰と決めるか
Web制作では、「デザインを作ること」よりも、「認識を揃えること」の割合が非常に大きくなります。
特にディレクターは、各フェーズで何を決定するかを整理する必要があります。
初回ヒアリング
この段階では、デザインの話を急ぎすぎないことが重要です。まず整理すべきなのは、
・プロジェクトの目的
・成果指標
・ターゲット
・現状課題
・流入経路
・競合状況
・社内で重視されていること
などです。
この段階で方向性を整理できていないと、後工程で「認識のズレ」が発生しやすくなります。
要件整理・情報設計
このフェーズで重要なのは、「何を載せるか」ではなく、「何を優先するか」です。ここで整理するのは、
・ユーザー導線
・コンテンツ優先順位
・CVまでの流れ
・必要情報
・不要情報
・情報の粒度
などです。
この段階では、まだビジュアル設計へ入らない方が安全です。
ワイヤー制作
ここで初めて、情報を画面へ落とし込んでいきます。ただし、ワイヤーは単なるラフデザインではありません。
「どのように情報を理解させるか」を確認する工程です。
デザイン
ここで初めて、・トンマナ
・UI表現
・写真
・アニメーション
・ビジュアル
などの表現設計へ進みます。
逆に言えば、ここより前にビジュアル議論が始まると、情報整理が曖昧なまま進行しやすくなります。
情報設計と画面設計は、別の工程
この2つは混同されやすいですが、役割が異なります。情報設計
情報設計は、・誰に
・何を
・どの順番で
・どう理解させるか
を整理する工程です。
つまり、ユーザー理解と情報整理の設計に近い領域です。
画面設計
一方、画面設計は、・どこへ配置するか
・どこを強調するか
・どのように視線誘導するか
・UIとしてどう成立させるか
を整理する工程です。
つまり、情報を視覚表現へ翻訳する工程になります。
情報設計から画面設計へ移る際の注意点
ここでよく起きるのが、「情報設計が、デザインによって崩れる」問題です。
例えば、
・世界観を優先しすぎる
・写真を大きく使いすぎる
・演出を増やしすぎる
・余白を広げすぎる
ことで、本来伝えたかった情報の優先順位が崩れるケースがあります。
結果として、画面自体は整っていても、
ユーザー側からは「理解しづらいサイト」になることがあります。
まとめ
参考サイトを見ると、どうしても「どんなデザインにするか」という議論から始まりがちです。しかし実際には、その前段階で整理すべきことが数多く存在します。
・誰に向けるのか
・何を判断材料にするのか
・どの順番で理解させるのか
・どこで信頼形成を行うのか
ディレクターに求められるのは、完成画面を描くことではなく、制作に必要な判断材料を整理することです。
そして、その材料をどのような表現へ落とし込むかは、デザイナーが担う領域です。
役割を分けて考えることで、プロジェクト全体の意思決定も整理しやすくなると感じています。